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kon.3 カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」 |
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謝肉祭とは、キリスト教の祭りのひとつで、謝肉祭期間は、仮面劇が行われたり音楽会を開いたり、お祭り騒ぎが許されていた。 |
全14曲解説 |
1 | 序奏と獅子王の行進 Introduction and Royal March of the Lion Introdaction et Marche royale du Lion |
アンダンテ・マエストーソ →アレグロ・ノントロッポ → ピウ・アレグロ |
ハ長調 → イ短調 4/4 |
短い序奏の後、ライオンの王様が入場してくる。 ピアノでのファンファーレ風序奏の後に現れるのが、 ライオンの主題。 原曲は、ピアノ2台と弦楽5部による。 |
2 | 雌鶏と雄鶏 Hens and Cocks / Poules et Coqs |
アレグロ・モデラート | ハ長調 4/4 |
鶏の夫婦が口げんかをしながら登場する。 原曲はピアノ2台とクラリネット、ヴィオラ、ヴァイオリン2。 |
3 | らば Wild Asses Hemiones(Animaux Veloces) |
プレスト・フリオーソ | ハ短調 4/4 |
らば(注1)が登場し、跳ね回る。 原曲は、ピアノ2台のみ。 |
4 | 亀 Tortoises / Tortues |
アンダンテ・マエストーソ | 変ロ長調 |
とってもスローな亀が登場。この最初のテーマは、 オッフェンバックのオペラ「天国と地獄」の中の「カンカン」 のメロディ。しかし、「亀」では、本家のテンポより凄く遅い テンポにしてある。亀の「のろまさ」を強調するために。 原曲は、第1ピアノと弦楽5部。 |
5 | 象 The Elephant / L'Elephant |
アレグレット・ポンポーソ | 変ホ長調 3/8 |
おどけが象のワルツ。中間部のメロディは、ベルリオーズ の「ファウストの劫罰」の中の「妖精の踊り」と、 メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の「スケルツォ」を 借りていて、それを原曲より低い音で演奏し、象の雰囲気 を出している。 |
6 | カンガルー Kangaroos / Kangourous |
モデラート | ハ短調 4/4 |
カンガルーが2、3回跳ねては立ち止まる、を繰り返す。 テンポはモデラートに指定されているが、アッチェレしたり リタルダンドしたりと、揺れる。 跳ねている時は4/4拍子だが、立ち止まっている時は 3/4に変わる。 原曲はピアノ2台。しかし、2台が6小節ずつ交代で演奏 するようになっている。2匹のカンガルーを表している。 のかもしれないらしい。 |
7 | 水族館 The Aquarium / Aquarium |
アンダンティーノ | イ短調 4/4 |
水槽の中の気泡がはじける様子を描いた曲。水槽の中 には、熱帯魚などが泳ぎまわっている。 原曲はフルートとグラスハーモニカ、ピアノ2台と弦楽4部 (弦バス抜き)で演奏される。 ペダルを踏んだピアノの高音域が、気泡をあらわす。 |
8 | 耳の長い登場人物 Personages With Long Ears Personnages a longues oreilles |
テンポ・アド・リビウム | イ短調 3/4 |
耳の長い登場人物とは、ロバのこと。 ただ、ロバには「のろま、まぬけ」などの意味もあり、 この曲でサン=サーンスは、自分の曲を悪く言う音楽 評論家たちのことをロバに喩えて皮肉を言っている。 だからタイトルはずばりロバと言わず、耳の長い・・・と なっている。遊びで書いた曲だからね。 原曲はヴァイオリン2。 |
9 | 森の奥のカッコウ The Cuckoo Le coucou au fond des bois |
アンダンテ | 嬰ハ短調 →ホ短調 3/4 |
森の奥から響いてくる郭公(カッコウ)の鳴き声。 1本調子な鳴き声をクラリネットが担当する。 原曲はクラリネットとピアノ2。 |
10 | 大きな鳥籠 The Aviary / Volieres |
モデラート・グラツィオーソ | ヘ長調 3/4 |
動物園にある大きな鳥籠(鳥小屋か?)で何種類もの 鳥が囀っている。 原曲はフルート、ピアノ2、弦楽5部。 |
11 | ピアニスト Pianists / Pianistes |
アレグロ・モデラート | ハ長調 4/4 |
ピアニスト(勿論人間)すらも動物に入れてしまう。 練習曲風の曲を何度も何度も繰り返すが、途中で ピアノの先生の怒鳴る声が遮る。機械の様に面白みの 無いピアノ演奏を皮肉っている。サン=サーンスも 練習曲は嫌いなのかな。やっぱり。 |
12 | 化石 Fossilis / Fossiles |
アレグロ・リディアロ | ト短調 2/2 |
夜中の博物館の中で化石が動き出す様子をあらわす。 実はこの化石は人間の骨の化石、つまり骸骨が踊り出す。 サーンスは、聞き古された音楽も、音楽に於いての化石で ある、と皮肉る。とは言え、古いものの中にも良いものは たくさんある。一番最初に出てくるメロディは自作曲 「交響詩・死の舞踏」、次にキラキラ星、月の光、三匹の 盲ねずみ、フレール・ジャック、などのフランスの童謡や 民謡、次にロッシーニの「セヴィリアの理髪師」のロジーナ のアリア「今の歌声」がフーガの様に絡み合う。 原曲は、クラリネット、シロフォン(木琴大活躍の曲)、 ピアノ2、弦楽5部。 |
13 | 白鳥 The Swan / Le Cygne |
アンダンテ・グラツィオーソ | ト長調 6/4 |
この組曲の中で一番有名な曲。単独でもよく取り上げ られる。2台のピアノがアルペジオで湖面をあらわし、 チェロが優雅に泳ぐ白鳥をあらわす。 コンサートなどでは、チェロの代わりにヴァイオリンや フルートなど、他の楽器でも演奏したり、ピアノの代わりに ハープが伴奏をつとめるバージョンも聴いたことある。 原曲はピアノ2とチェロのみ。 |
14 | 終曲 Finale / Final |
モルト・アレグロ | ハ短調 4/4 |
いよいよフィナーレ。 今まで出てきた動物たちが再び登場して、華やかに カーニバルが終わる。グランドフィナーレなので、原曲 でも演奏者全員総出演だが、フルートのみピッコロに 持ち替える。メロディでも前に登場したメロディが再び 登場。途中にオッフェンバックの「天国と地獄」の フィナーレのメロディも登場。 |
フランスの作曲家、ピアノ、オルガン奏者。 |